遊戯空間公演
2013年2月8日(金)~10日(日)
劇場 東京・両国シアターXカイ
テキスト:和合亮一「廃炉詩篇」より
構成・演出:篠本賢一
出演:横尾香代子(演劇集団円)
柘植英樹
藤田三三三
渕野陽子(劇団青年座)
三田直門(劇団銅鑼)
道場真里
秋葉舞滝子(SPIRAL MOON)
小泉真穂
花村さやか
大沢一起
大竹宏枝(SNSカンパニー)
丸本育寿
向暁子(劇団銅鑼)
猪股香奈子(テアトルエコー)
水川美波
青木恵(劇団櫂人)
演奏:藤田佐知子(ピアノ)
照明:佐々木真喜子(ファクター)
音響:山田健之
舞台監督:杣谷昌洋
森山香緒梨
映像:緒沢恒彦
写真:宮内勝
ビデオ映像:大塚登(東京舞台映像)
チラシイラスト:KAYOKO
宣伝美術:土倉タイスケ
制作:高橋俊也(THEATRE-THEATER)
MEMO
震災直後、和合さんが「詩の礫」をツイッターで投稿し始め、それを読んだとき、衝撃を受けました。
行き着くところは涙しかありません。私は作品を修羅のように書きたいと思います。
放射能が降っています。静かな夜です。
普段泣き顔を見せたことがない友達が、突然目の前で、声をあげ泣き崩れたような戸惑い。これは只事ではないと感じ、仲間を集めて言いました。「和合さんが大変なことになっている。これを芝居にしよう。」
世の中がまだ騒然としていて、現実の問題が日々深刻さを増している時期、上演を危惧する声もありましたが、震災から四か月後の七夕の日に「詩×劇 つぶやきと叫びー深い森の谷の底でー」を上演、そして、震災から一年後の昨年三月、和合さんのホームグラウンドともいえる仙台文学館で、再びそれを東京と仙台の演劇人の共同作業により、上演しました。
「詩の礫」以後、和合さんのことばは詩であると同時に、傷を負った者の痛切な叫び声、あるいは傷を負った者への癒しのことばのようでした。かつてのシュールな作風は、もうそこにはありません。長いこと和合さんの詩に触れてきたものにとって、それらは、和合さんのことばの避難所、ことばの仮設住宅のように感じられました。
そこで「詩×劇 つぶやきと叫び」に続く「詩×劇」シリーズの新作を、和合さんがかつて書いた現代詩でやろうと考え、作品の構想を練っていた矢先、和合さんから、新しい詩を書き始めているとの報せを受けました。その名も、
「廃炉詩篇」――
震災を体験したあと、被災地の方々の体験に耳を傾け、世界中に「礫(つぶて)」を発信し続けたのちに生まれたこの詩から、新たな和合さんの声が聞こえてきました。現実の世界に向き合った力強さと執念、まさに筆の力で世界を動かそうという気迫に満ちたものに感じられたのです。ならば、和合さんの現代詩をテキストにしてきた「詩×劇」という仕事もそれに応えるものにしなければなりません。それが今回の「詩×劇 未来からのことばーもし成就するならばー」です。
これからの時代に演劇をどう続けて行けばいいのか。自らに問いつつ、稽古を続けました。さて、舞台から客席にいったい何を届けることができたのでしょう。ーパンフレットよりー