狂人よ、何処へ~俳諧亭句楽ノ生ト死~

 

 

作:吉井勇

構成・演出:篠本賢一

出演:大川原直太(劇団俳小) 堀光太郎  永野和宏(劇団新人会)  小栗真一 徳田雄一郎 草野峻平(劇団東京夜光) 柘植英樹  神保麻奈 道場真里 渕野陽子(劇団青年座)  桂右團治(特別出演)

音楽 桂小すみ 徳田雄一郎

2025年3月19日(水)~23日(日)

上野ストアハウス

芸術文化振興基金助成事業

 

大正・昭和の歌人であり劇作家であり小説家だった吉井勇(1886-1960 )は、大女優・松井須磨子が唄い大流行させた「ゴンドラの歌」の作詞家としても知られている。「いのち短し恋せよ乙女~」という歌詞をご存じの方も多いだろう。ところで吉井勇には「句楽もの」と呼ばれる作品群がある。「俳諧亭句楽」という落語家と、その仲間たちの騒動を描いたもので、九本の戯曲のほかに「句楽の日記」「句楽の手紙」などの日記体小説もある。それらを通じて描かれているのは芸人たちのもの悲しく、そして微笑ましい生きざまだ。吉井勇は、明治維新の功により伯爵となった祖父を持つ。父親も貴族院の代議士だった。そんな境遇の吉井勇が、社会の底辺で生きる芸人たちにあこがれの眼差しを向けていた。裕福だった吉井勇の心をつかんだ彼ら芸人の姿とはいったいどんなものだったろう。今回の上演では、「俳諧亭句楽」のエピソードを再構成し、浅草もほど近い劇場で、失われた下町情緒、芸人たちの生活風景を味わって頂けたらと思う。また、今回の企画に賛同して頂いた、落語芸術協会初の女流真打である桂右團治さん、令和5年度芸術選奨文部科学大臣新人賞ほかの受賞で活躍著しい桂小すみさんのお力も借りて、どんなコラボが展開するか、ご期待ください。


撮影 宮内勝