女中たち

遊戯空間サロンシアターVol.1

 

1995年9月15日~17日

なんでも小屋 NGOMA

 

作:ジャン・ジュネ

翻訳:渡辺守章

演出:篠本賢一

 

出演:ソランジュ

           青木雪絵

   /藤田三三三

   クレール

           古田耕子(劇団仲間)

   /矢部謙次

   奥様

           岡橋和彦 (劇団民藝)

 

協力:西永椿、藤井巴艶、橋本邦一


MEMO

「サロンシアター」の第1弾に選んだのは、ジャン・ジュネの『女中たち』。女中姉妹の「奥様ごっこ」から始まるこの劇は、演ずることへの問いかけ、朗誦術を必要とする長セリフの数々、愛と憎悪に満ちた激しい感情、それは篠本の演出を展開するにはうってつけの戯曲であった。黒の上下のシンプルな衣装、まるで格闘技のような、言葉と言葉、肉体と肉体のぶつかり合い。観客は2間四方のパンチカーペットで繰り広げられるその闘いを壁にもたれて見続けなければならない。役者にとっても観客にとってもハードな作品だったことは確かだ。男性チームと女性チームは別々に稽古を行い、本番間際まで互いのプランからの影響を避け、演出はそれぞれの稽古場で独自色を出すことに力を注いだ。強烈な存在感を示した奥様役の岡橋和彦氏は、衣裳や下着を劇団の後輩に借りたという。


なんでも小屋NGOMA「サロンシアター」

JR中央線武蔵小金井駅南口徒歩5分にある住宅街の民家の地下で「サロンシアター」をスタートさせる。客席は20席、演技エリアは2間四方のパンチカーペットに限定し、3年間、2か月に1本のペースで休みなく演劇を探求し続ける。篠本賢一、青木雪絵、藤田三三三はその全作品に参加し、3作目からは田中佐知子(藤田佐知子)が音楽演奏で参加し、岡橋和彦、村上寿も多くの作品に出演した。レパートリーはフランス不条理劇、正宗白鳥戯曲、現代詩の劇化など、商業ベースにのりにくい作品を積極的に取り上げる。詩人・和合亮一との出会いもここでの企画であった。開演時間は厳格に守られ開演後は入場できなかった。上演後には、ワインや紅茶などを配って懇親会で行い、観客との交流を図った。