詩×劇2018 つぶやきと叫びー礫による礫ふたたびー

遊戯空間公演

 

2018321日(水・祝)24日(土) 

23日(金)和合亮一・アフタートーク

新宿区立新宿文化センター 小ホール

 

テキスト:和合亮一

  「詩の礫」「詩ノ黙礼」「詩の礫 起承転転」より

構成・演出・美術:篠本賢一

 

出演:佐々木梅治(劇団民藝)

   藤田三三三

   草野峻平

   永野和宏(劇団新人会)

   川邊史也(劇団銅鑼)

   佐藤辰哉

   山田栄子

   神保麻奈

   渕野陽子(劇団青年座)

   川原洋子(劇団桟敷童子)

   山縣よう子

   福永奈津美

   篠田悦子

   

   石川弘美(特別出演)

   和合亮一(声の出演)

 

演奏:藤田佐知子(ピアノ)

   丸山剛弘(チェロ)

 

スタッフ

照明:朝日一真 

音響:山田健之 

舞台監督:森山香緒梨 

舞台写真:宮内勝 

ビデオ撮影:大塚登(東京舞台映像) 

衣裳協力:細田ひな子 

題字:小泉春庭 

宣伝美術:工房S 

タイトル原案:荒井純 

制作:高橋俊也(THEATRETHEATER

   篠本翠(遊戯空間) 

協力:81プロデュース、プロダクション・タンク、懸樋プロダクション、テアトルアカデミー、(有)創新企画、劇団銅鑼、夏の会、劇団櫂人、アトリエそら、思潮社、河野晴美

 

主催:一般社団法人遊戯空間 

芸術文化振興基金助成事業  

撮影:宮内勝

×劇2018 つぶやきと叫び ー礫による礫ふたたびー

 

プロローグ ―いま、祈りの時― 「詩ノ黙礼」より

 黙礼する 目と目の合った 瞬間に 涙があふれて その時に

 

つぶやきと叫び ―あの時、何が― 「詩の礫」より

 2011316日 詩の礫01 放射能が降っています 静かな夜です

 2011317日 詩の礫02 馬の背中が地だとすれば 私たちは騎手 悲しい騎手

 2011318日 詩の礫03  あなたはどこに居ますか あなたの言葉になりたい

 2011319日未明 詩の礫04  私はもう一人の私を着ています 一週間も私の汚れを着ている私

 2011319日深夜 詩の礫05  外への扉を開けたとき 僕には羽根が生えた

 2011320日 詩の礫06  地下の馬の群れよ しばらくは地獄の木陰で 水でも飲み 草でも食みたまえ

 2011322日 詩の礫07  制御不能 言葉の脅威 余震

 2011323日 詩の礫08  余震はなこの辺の犬が全部吠えるんだ!

 2011327日 詩の礫09  空気が怖い 空気に何かがいるよ 怖いよ やだよ 何

 201141日 詩の礫10  私たちは精神に冷たい汗をかいている

 201149日 詩の礫11昂然  目の前の目の前に 書き殴れ 一つの文字 詩

  

エピローグ ―いま、怒りの時― 「詩の礫 起承転転」より

 どうた どうた どどどうた 鬼が来る 鬼が来る 恐ろしい形相の鬼たちが来る

 激昂しながら 怒りそのものとなって 駆けめぐれ   




震災直後、和合亮一さんが「詩の礫」をツイッターに発表し始め、それを読んだときの衝撃は忘れない。

 

行き着くところは涙しかありません。私は作品を修羅のように書きたいと思います。

放射能が降っています。静かな夜です。

 

それまでに私は和合亮一さんの詩を何度も演劇化していたのだが、これは只事ではないと感じ、直ちに仲間を集め、和合さんが大変だ、「詩の礫」を芝居にしよう、と告げた。世の中がまだ騒然としていて、現実の問題が日々深刻さを増していた頃で、時期尚早との声もあがったが、震災から4か月後に座・高円寺2で『詩×劇 つぶやきと叫びー深い森の谷の底でー』を上演、そして、震災から1年後の2012年3月、和合さんのホームグラウンドともいえる仙台文学館で、東京公演の有志メンバーと故石川裕人、丹野久美子(劇団I.Q150)、樋渡宏嗣(SENDAI座☆プロジェクト)、渡部ギュウ(SENDAI座☆プロジェクト)ら仙台の演劇人との共同作業で再演した。

 

その後遊戯空間では、『詩×劇 つぶやきと叫び』に続く「詩×劇」シリーズ(詩をテキストにした新たな演劇空間創出の試み)として、和合さんの現代詩集「廃炉詩篇」をコラージュした『詩×劇 未来からのことばーもし成就するならばー』(2013・シアターX)、『たったいま八月の冥王星でたったいま八月の地球では(改訂版)』(2016・上野ストアハウス)などを上演してきたが、震災から7年後の2018年、東京オリンピックを2年後に控えたいま、ふたたびあのときのことばに向き合わなくてはいけないと考え、この公演を企画した。

 

―The situation is under control.―(状況はコントロールされている)

 

オリンピック招致の時に国際会議で安倍首相の発したこのうそを私たちは黙認してしまった。増え続ける放射性廃棄物、棄てられた大地と人々の暮らし、そして、次々に再稼働をしていく原子力発電所…、問題は山積し続け解決しているとは到底言えない。今回のこの舞台でどれほどの礫を皆さんの心に届けることができるか。未曾有の震災体験を心に刻み付けておくために、これからも福島に住む詩人の発したことば「詩の礫」を大切にしていきたい。

ーパンフレットよりー


                                         毎日新聞4月4日夕刊